loveを哲学するblog

26歳OLが思考の整理を目指します。

映画「万引き家族」の中にある既視感と『わかる』

 

今日は1日引きこもっていたので外が暑かったかがわからないけど、多分暑かったんだと思う。

来週はどうやら雨模様間続くみたいで、今からちょっとだけ憂鬱だけど、来週末にはNEWSの15周年今週後に行くのでそれを楽しみに乗り切っていこう(ポジティブ)

水曜木曜と事前物販があるみたいなんだけど、物販でレジに行く前に注文票を作っておける物販アプリが試行されるみたいでここ最近のジャニーズの急な近代化に驚いている。これもスマップ騒動で抜けた3人というアンチテーゼをもってして起きた事象かと思うと中々考えさせられる。そんなことより、お騒がせ案件が続きすぎてNEWSのコンサート自体に考えさせられているよ!(ちなみに増田さんが好き)

 

 

さて少し前の話になるけれど、万引き家族を劇場で見た。

 


映画「万引き家族」本予告編

 

カンヌ映画祭パルムドール受賞ということもあってたくさんの前評判は聞いていたし、その評判通り、作品の構成、視覚から訴えてくるリアル感、役者さん達の圧倒的な演技等ほんとうに素晴らしかった。

前にテレビ東京でやっていたドキュラマ「山田孝之のカンヌ映画祭」(作中に出てくる芦田愛菜ちゃんが本当に最高なので興味がある人は騙されたと思ってぜひ見てほしい)、秀逸で大好きな深夜ドラマ(ドキュメンタリー?)なんだけど、それを見ていた時に感じていたカンヌ映画祭出品作品のイメージより、今回の「万引き家族」は複雑難解ではなかったように感じたんだけど、私はカンヌ映画祭の作品にあまり明るくないからそこら辺どうなんだろう。

 

大人たちだけじゃない子役の生感の強い演技だとか、まるでそこで暮らしているかのような(映画のセットであることを感じさせない)家の様子だとか(汚いキッチン、段ボールだらけの玄関、もうずっと干していないくようなせんべい布団、数え切れないほどの生活感があった)本当に観ていて胸にクる部分がたくさんあった。

 

その中でも特に私が言及したいのは、松岡茉優演じる「さやか」だ。

さやかはあの家族の中で、ともすると 一番異質であったように思う。うまく言えないが、育ちが違う、1人だけ何か違うと言うのを冒頭家族がそれを心からどことなく感じた。(ちなみにさやかが洗い古してちょっとくたっとなってるジェラピケの部屋着を家で着てるんだけど、その感じが既視感すごくてマジで胸にクるので一見の価値ありだと思ってる)

ここからはネタバレになってしまうんだけど、実際その直感は合っていた。

さやかの実家は、表向きは裕福で家庭も円満な核家族で、実際さやか自身も高校までは音楽系の高校に通い金銭的にも不自由なく育てられていたようではある。でもさやかはそこから抜け出した、逃げた。そしてあのいびつな、自分の元いた家と比べると生活水準も著しく落ちるであろう万引き家族の家で居候することにして、さやかはJKリフレ(風俗)で働きながらあの家族の一員となった。

家系図的には、さやかの実の祖父の前妻が樹木希林演じる初枝に当たる。細かな事情までは語られないが、どうやら血は繋がっていないものの祖母のような立場として、元々初枝とは関わりがあったということみたいだった。

 

そもそもさやかは本名ではない。さやかとは彼女の実の妹の名前だ。

彼女は妹の名前を源氏名にして風俗で働いている。

初枝がさやかの実家を訪れるシーンが作中にあるんだけど、さやかは家出したのではなく海外留学に行っているということになっていて、実の姉が不在な状況にもかかわらず“本当のさやか”である妹も何事もないかのように明るく生活している。

さやかの実家は、表向きこそ穏やかな家庭かもしれないが、内実、実家での生活はさやかにとって、きっと針のムジナのようなものだったのだ。

ここからは推測に過ぎないけれど、妹ばかりが優先される環境、父や母からの抑圧、過度な期待、過干渉。

さやかは一種の自傷行為として、そして何より、一番は妹・家族への復讐として風俗で働き、身を削っている。

唯一の心の拠り所を初枝に求めながら。

 

私は風俗で働いた事はないし家出したこともないけれど、さやかがどうしてそういう選択をしたのかは痛いほど『わかる』。

いい子ちゃんでいるしわ寄せはどこで釣り合いをとったらいいんだろう。

何を愛情と思ったらいいんだろう。

 

作中で、さやかは店の客である吃音の男性と出会い、ほんの少しだが心を通わせる。

さやかの未来、そして復讐や愛情への明確な答えは全く作中では描かれていなかったけれど、私にとってその『わかる』という思いが、映画「万引き家族」を、私の中でより一層色濃いものにしたのだった。

 

ちなみに万引き家族の結末としては、私は数年前の洋画『チョコレートドーナツ』に近いものを感じたんだけどそこら辺どうなんだろう。(チョコレートドーナツもとてもオススメな一作。LGBTや障害者支援、家庭環境とかについて強い渦でもって感情に揺さぶりをかけてくるタイプの作品です)

 


『チョコレートドーナツ』予告編

 

愛とかお金とか世間とか普通とか、わからないことだらけだし、そもそも平均値を出そうとすることが間違いで、一人ひとりの主観の中でしか人間は決められないことばかりなんだと思う。

主観でしか世界が見られないから、私が見ている世界は私しか見れないから、だから私は、私の主観を持ってしてアウトプットを続けていきたいのだ。